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色々なことを書きます。

こけしと空の青さと広さ

昨年の秋のこと、京都旅行へ行った時に偶然やってた京都国際映画祭。著名な芸人さんがいくらかゲスト出演すると聞いて、予定にはなかったけど飛び入りで参加した。そこで一際目を引いた10m以上はあろうか巨大こけしのモニュメント、堂々とそびえ立つその姿を見上げて、僕はあっけらかんとしてしまった。普段上を向くことの少ない僕は同時にこの空の青さと広さにも気がつかされた。

 

しかしその巨大こけしは今では横たわっているらしい、京都の景観を損なう、条例に引っかかるなど俗にいう大人の事情というやつで、とは言えど作られたこけしに罪はないわけで、もうそのこけしと青空を見上げることはないのかと少し悲しい気持ちになって肩を竦めた。同時にこんな些細な事で一喜一憂する自分のダサい感じと面倒くささが浮き彫りになった。

 

思い返してみると、いつもそうだった。日常に起こる些細な事で揺れうごく心。これはいつからだろうな、きっとかつての友が今の自分を見たら、らしくない。なんて言われるんだろう。でもね、些細な事でさえ気が付けるのは自分の良い所だとも思ってる。こういうのは自分で言う事ではないんだけどね。

 

ずっとずっと人に関心がなかったそんな自分がいま変わりつつある。

誰かが言った、自分に向けた一言でこんなにも感情を揺さぶられる、それって素敵な事じゃないですか。その反面、落ち込んだり傷ついたりする事も多くなったんだ。感情の渦に飲まれて溺れそうになる時もある。でも今はそんなこんなでなんとか生きてるよ。

 

横たわってるこけしも、今は少しだけ、ほんの少し、休んでるだけ、いつかきっとあの時の様に堂々とまた他の誰かに空の青さと広さを教えてくれるんだ。